ランニング

暑さ指数(WBGT)は何度から危険? ランニングアプリの○△×をどこで区切ったか

レノすけ

この記事では、暑さ指数(WBGT)が何度から危険とされているのかと、私が作っているランニングアプリで走りやすさの判断(○△×をどこで区切ったか)を書きます。

暑さ指数(WBGT)とは何か

ご存じの方もいるでしょうが、暑さ指数(WBGT)は、熱中症を防ぐための指標です。1954年にアメリカで提案されました。日本では2006年に環境省が専用のサイトを開設して本格運用を始め、2011年に約150地点、2013年には約840地点まで広がっています。いまは夏の期間だけ、実況値と数日先の予測値が公開されています。

単位は気温と同じ「℃」で表されますが、気温とは別の数字です。計算式はこうなっています。

  • 屋外:WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
  • 屋内:WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

湿球温度は、水で湿らせたガーゼを巻いた温度計で測ります。汗が蒸発するときの涼しさを表す値です。黒球温度は、黒く塗った直径15cmほどの銅球の中心で測るもので、日差しの照り返しを含んだ体感に近くなります。乾球温度が、いわゆる気温です。

屋外の式でいちばん重みが大きいのは、湿球温度の0.7です。気温そのもの(乾球温度)の重みは0.1で、湿度の影響が大きく出る式になっています。同じ気温30℃でも、カラッとした日と蒸し暑い日では暑さ指数が違ってきます。

実際に走ってみると、この差は体で分かります。気温は同じくらいなのに、やたらきつい日がある。あれは湿度が効いていたわけです。

目安の表は2種類ある

調べていて戸惑ったのが、指針が2つあることでした。日常生活向けと、運動向けです。数値の区切りも違います。まず、運動に関する指針(日本スポーツ協会)です。

暑さ指数区分内容
31以上運動は原則中止特別の場合以外は運動を中止する。特に子どもの場合には中止すべき
28以上31未満厳重警戒激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける
25以上28未満警戒積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する
21以上25未満注意熱中症による死亡事故が発生する可能性がある
21未満ほぼ安全通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要

もうひとつが、日常生活に関する指針(日本生気象学会)です。こちらは4段階で、運動の指針にある21未満の区切りがありません。

暑さ指数区分内容
31以上危険高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する
28以上31未満厳重警戒外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する
25以上28未満警戒運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる
25未満注意一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある

ランニングをする人が見るべきなのは、上の運動に関する指針のほうです。区分が5段階に分かれていて、21未満から刻まれています。運動する人向けに細かく作られている、ということだと思います。

気をつけたいのは、21以上25未満の「注意」にも「熱中症による死亡事故が発生する可能性がある」と書かれていることです。この区分は名前だけ見ると安全そうに読めますが、そうではないようでした。正直、ここは読んでいて驚きました。

アプリではどこで線を引いたか

ここから、自分が開発しているアプリの話になります。アプリ開発の概要は前の記事(AIを相棒にランニングアプリを作っている話)に書いてあります。このアプリは走った後に距離と時間と体感を入力すると、現在位置の気温・湿度・暑さ指数も自動で記録されるランニング日誌機能を持っています。もうひとつ「走りやすさ予報」という、気象情報を元に数日間の時間帯ごとに○△×で走りやすさを判定する機能があります。

作り始めてすぐに気づいたのは、この○と×の境目を自分で決めなければいけない、ということでした。単純に「暑い日は×」と書いただけでは、プログラムは動きません。何度からが暑い日なのかを、数字で決める必要があります。

走りやすさの○と×の境目を引くにあたって、私は以下のように境界を設けてみました。根拠にしたのは、さきほどの運動に関する指針です。

暑さ指数の指針とアプリの判定の対応。31以上が運動は原則中止、28以上が厳重警戒、25以上が警戒、21以上が注意、21未満がほぼ安全。アプリは28以上を×、25以上28未満を△、25未満を○としている
暑さ指数の指針と、アプリの判定の対応

判断に迷ったのは、×をどこに置くかでした。「運動は原則中止」は31以上なので、素直に読めば×は31からになります。それでも28にしたのは、28から31の区分に「激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける」と書かれていたからでした。持久走は、まさにランニングです。そのため、この区分を△にしておくのは違うと思い、危険側に寄せました。

逆に、○は広めに取りました。「注意」と「ほぼ安全」を分けず、25未満はまとめて○にしています。走る前にちらっと見る画面なので段階を増やさない判断ですが、○は安全の保証ではありません。

判定に入れなかったもの

○△×には、天気(晴れ・曇り・雨)を入れていません。暑さ指数をもとに決めています。○△×を「暑さのリスク」の指標として保ちたかったからです。ここに雨という要素を混ぜると、△が「暑いのか、雨なのか、その両方なのか」分からなくなります。

自分の記録5件で確かめてみた

線を引いたはいいものの、それが自分の体感と合っているかは別の話です。手元にある5件を並べてみました。すべて7月末から8月中旬、夜19時台から20時台、同じ地域を6km台走ったものです。

日付天気気温湿度暑さ指数判定体感ペース
8/3曇り25.4℃73%23.6ふつう4’40″/km
8/1525.5℃81%24.0好調4’52″/km
8/17曇り26.2℃78%25.3いまいち5’16″/km
7/29曇り27.3℃62%25.8つらい5’21″/km
8/6晴れ29.0℃81%27.4つらい5’11″/km

暑さ指数の低い順に並べています。○の2件が「ふつう」と「好調」、△の3件が「いまいち」「つらい」「つらい」。25で引いた線が、そのまま体感の境目になっていました。

サンプル数が5件だけなので、これで正しいと言い切るつもりはありません。ただ、少なくとも自分の感覚とは食い違っていなかったです。

気温より湿度が効いていた

おもしろかったのは、7/29と8/17の比較です。7/29は気温27.3℃で湿度62%、暑さ指数は25.8。8/17は気温26.2℃で湿度78%、暑さ指数は25.3。気温は8/17のほうが1.1℃も低いのに、暑さ指数は0.5しか下がっていません。 湿度が62%から78%に上がったぶんが、気温の低さを打ち消していました。

体感も、7/29が「つらい」で8/17が「いまいち」。1段階しか違いません。気温だけを見ていたら、8/17はもっと楽なはずでした。数字の上でも体感でも、湿度のほうが効いていたことになります。

雨の日が一番走りやすかった

5件のうち、体感が「好調」だったのは8/15の1件だけです。この日の天気は雨でした。気温25.5℃、湿度81%、暑さ指数24.0。数値だけ見れば湿度は5件で最高タイですが、暑さ指数は下から2番目。判定は○です。

雨が降っていると走りにくそうに思えますが、少なくともこの日は違いました。濡れるぶん体が冷えて、走りやすかったのだと思います。判定に雨を入れなかった話をさきほど書きましたが、雨=走れない、ではないことが自分の記録にも出ていました。

8月15日と8月6日の記録の比較。8月15日は雨で気温25.5℃、湿度81%、暑さ指数24.0、体感は好調。8月6日は晴れで気温29.0℃、湿度81%、暑さ指数27.4、体感はつらい
8月15日(雨)と8月6日(晴れ)の記録を並べたもの

数値では説明できなかったこと

うまく揃ったところだけを書くのは公平ではないので、合わなかったところも書いておきます。ペースを見ると、一番暑かった8/6(暑さ指数27.4)が5’11″/kmで、それより涼しい8/17(25.3)と7/29(25.8)より速いんですよね。暑さ指数の順に遅くなる、とはなりませんでした。

体感のほうは順番どおりに並んでいるので、ペースは環境以外の要素にも引っ張られている、ということだと思います。その日の疲労や、走る目的の違いもあります。

もうひとつ、8/15のメモにこう書いていました。「最近の気候では比較的走りやすかった。ただし、体調不良明けで久しぶりに走ったので、走りの調子は悪かった」

環境は良かったけれど、自分の調子は悪かった。 それを「好調」という一つの選択肢に押し込んでいます。今の体感は5段階から選ぶ形なので、環境のつらさと自分の調子が混ざってしまうんですよね。記録を並べてみて初めて見えたことでした。環境の体感と走りの調子は、分けて残せたほうがいいのかもしれません。

まとめ

暑さ指数(WBGT)は、気温だけでなく湿度や日射も含めて計算する指標です。「何度から危険か」の目安は運動に関する指針で決まっていて、31以上で原則中止、28以上で持久走は避ける、とされています。

自分のアプリでは、この指針をもとに3段階で判定しています。

  • 28以上を×。31を待たず、危険側に寄せています
  • 25以上28未満を△、25未満を○。○は範囲が広く、安全の保証ではありません
  • 判定に使っているのは暑さ指数だけ。天気は別のアイコンで見てもらう前提です

計算式を見るまでは、暑さ指数が気温とどう違うのか分かっていませんでした。湿球温度に0.7、乾球温度に0.1という配分を知ってから、気温だけでは説明できない日が読めるようになりました。基準が決まっている分野は、まず出どころの資料を探すのが早いと思います。

そのあと5件の記録と並べてみると、体感の5段階が「環境のつらさ」と「自分の調子」を混ぜてしまっていることが見つかりました。線を引いた時点では、気づいていなかった課題です。

最後まで見ていただき、ありがとうございました。

出典

ABOUT ME
レノすけ
レノすけ
個人開発者(Tech Craft Garage)
個人でアプリを開発中。AI(Claude Code / Cowork)を相棒に「ランびより」を制作。作る過程と、走り・暑さ対策の知見をゆるく発信。
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